僕と招き猫

〜その弐〜

 前回の簡単かもしれない説明:(前作は作者のサイト及び綺更萌サマの”星狩☆紀行”に置いてありますので、そちらを読んだ方がよいでしょう←密かに宣伝行為)

 如月骨董品店の招き猫が突如紛失。消えた招き猫の代わりに如月の元へやってきたのは一匹の白いこねこ。二足歩行をし、うにゃうにゃと鳴くそのこねこ―”こトロ”に、すっかり心奪われた如月。なぜなら、最愛の主たる緋勇麻弥嬢(の恋人は劉弦月←無いようである設定)にどことなく似ていたからであった。

 似ている部分って、愛情表現がストレート(すぎるともいう)っていうところくらい何だけどさ。…や、それはいいか。気にしていたらお話始まらない。

 何だかんだで二人(?)はお互いの想いを認識し、仲良く共に暮らし始める。

 そんな如月家だったが、イロイロとあった末に(オイ!!オレ様はそれで片付けられるのかよ!?!?BY雨紋)、こトロはある日突然、如月に別れを告げた…。

 戸惑う如月、だがこトロの決意には勝てず、泣く泣くその背を見送ったのだった…。『必ず戻るにゃ』その言葉を信じて…。

 幾ばくかの時を経て、如月家に舞い戻ったこトロ。同伴していた御門から、如月は衝撃かつ嬉しい事実を知るのだった……。

 それほどまでに強い想いを抱いていたこトロ。それを受け止め、こトロへの想いを新たにする如月。

 こうして二人(…)は、幸せに、仲睦まじい生活を始めたのだった。(新婚さん……?)

 以上、前回の簡単かつワケのわからない説明終了。…だってさ、読んでない人のためにあんまりネタばらし出来ねェし。え?してる?

 それから月日は経ち…。(となると前回のはいつ頃の話だったのか…?訊かないで★)

 草木も眠る丑三つ時―とは正反対の午後二時過ぎ。お天気はお布団を干すのにぴったりのすこぶる晴天。そよそよと気持ちの良い風が頬を撫でる、お散歩にもぴったりグゥな感じです。
 今日も今日とて如月骨董品店は店主とこトロしかいません。…ごほげほ。

 お店の外を見れば、お昼時の日光が似合わない、一人の大柄な男が店に向かって歩いています。闇にうつろい、路地裏に凄んでいるのもまた怖いですが。

 がらがらがら。すたすたすた。

 店の戸の前まで来ると、遠慮も挨拶も無しにぬっと入り込んできました。『営業中』の札が下がっているので、不法侵入ではありません。

 さてさて、では本日も如月骨董品店お笑いラヴラヴ劇場をお楽しみください…ってそんな題名じゃなかったけど。気にしたら胃に穴があくかもしれません。あかないかもしれません。確実なのは、作者の拙い日本語を気にしているといまいちこの作品は楽しめないということだけです。

 ― 如月骨董品店・店内

 「コイツか、御門の野郎が手間暇かけたッてぇ猫は」
 「にゃ…うにゃ」
 専用おざぶ(注・如月氏お手製)におとなしくお座りしていたこトロは、いらっしゃいませにゃのニャ♪と、ぺこりと頭を下げたその次の瞬間に持ち上げられていた。
 「…飛水流奥義!!」
 いきなり奥義か。…行動力を意識して、ちまちま小技をだし、挙句の果てに最初から大技出しておけばよかったと思うよりはマシか。
 「あー、ちょっと待てッ。別に首根っこ掴んで持ち上げてるわけじゃなし。ほらよ、ちゃーんと両手でやってやってるじゃねェか」
 「ひすい♪あにょね、こにょ人はらんぼうな人じゃにゃいニャ♪高いところは、きもちいいニャ…vvv」
 にやにやと笑うその不敵な笑顔は『ほーら、こいつも一緒に流すわけにゃいかねェだろ?しかも喜んでるじゃねェか』と文字がバックに浮かぶくらいに(如月から見れば)ふてぶてしいものだった。
 …この目の前の男、如月氏より身長7センチばかり高い。コレばっかりはどうしようもない。だからこそよけいに気分が悪い。

 「…今日は何用だ、村雨。麻雀ならまた今度にしてくれないか」

 額に青筋が一瞬窺えたものの、こトロの視界に自分の顔がある手前、それはすぐさま身をやつした。ビバ、営業。

 「オイオイ、ご挨拶だな?ここは店だろ?なら俺が来てもイイじゃねェか」

 こトロが自分の手中にあるせいだろうか。何となく今日の村雨はいつもより態度がデカイ。
 さらに、村雨はこトロを肩車の形で、自分の首周りにひょいと何の気無しに座らせてみる。…何の気無しと言うのは建前で、実の所は嫌がらせもたぶんに含まれているのに違いないが。
 「にゃ〜♪かたぐるまニャ…今日はじめてあったにょに、いいヒトにゃvvvうにゃ♪」
 時にそれは誘拐行為に見えていたりする。(如月ビジョン)
 「覚えてねェのか?御門のとこで…まあ、お前が今の姿になる前だけどな、ちらっと逢ってんだ」
 如月からの刺さるような殺気もなんのその。村雨は飄々としたものである。如月の知らないお話をはじめるあたり意地悪。
 「うにゃ〜…ごめんにゃさい、おぼえてにゃい…」
 「ま、いいさ。気にすんなって。お互いカッコが白いもん同士、これから仲良くやろうじゃねェか」
 そう、今現時点において、二人のボディカラーは互いに白なのだ。(村雨はボディではなく服の色だがそこは気にしないように)
 「にゃ♪いっしょニャ、おそろいニャ♪♪…あ、おにゃまえ、にゃんていうのニャ?」

 『おそろい』その単語は如月の頭の中でドップラー効果を伴う勢いでぐわらんぐわらんと廻っていた。如月翡翠の祖父による幼い頃の厳しい修行(どんな風に厳しかったのかは機会があれば是非)が無ければ、今ごろショック死していたかもしれない。
 …こんな形で修行が役立っていても、じーさんは嬉かないだろうが。というか、修行の成果ってこういうところで現れるものなのか。どうなのか。どうでもいいか、別に。

 如月が必死に精神のバランスを保とうと必死に格闘しているその間にも、村雨とこトロの感情値は上昇を続けていたりする。
 「俺の名前は、村雨祇孔だ。…祇孔でいいぜ」
 「わかったニャ!しこう、しこう…しこう。うにゃ、おぼえたニャ♪…あ、あにょね」
 ぽむっと、柔らかい音から察するに両手をあわせたのだろうと見当をつける村雨。
 「おう、言いたい事はわかってるぜ。お前の名前はこトロだろ?」
 「しこう、すごいニャ!おお当たりにゃのニャvvv」
 「へッ、当てもんならまかしときな」
 麻弥か劉か雨紋か…はたまた御門か芙蓉か。情報源はわからないが(限定されるほど少ないが)、どうやら事前に掴んであったらしい。
 それを当てもんと言い切るその様に、事情を知るはずも無いこトロは何だかとっても【敬】の感情が高くなってしまっていた。
 …勿論、村雨が運で当てたなどとは思っていない如月は、さっきから輪をかけて感情値下降中。
 (このSSを読んだ後、ゲームを立ち上げられましたらば、ぜひ紫龍黎光方陣を使用してお互いの感情値を復活させてやってください。…なんて)

 「ふ…君たちは、よほど気が合うらしいね」
 ようやく村雨とこトロに対して発言できるまでに回復した如月氏。さらりと髪をかきあげる横顔は憔悴の影が若干見受けられ、物の哀れを感じさせる。憂いがあって美しい…と思うのは作者含めごく一部の読者サマ。
 「お、やきもちか?若旦那」
 そんな如月を前にして、自慢げに笑う村雨。逆なでしてどうする。
 「……それ以上言うな、村雨。五体不満足という言葉を知っているな?」
 店内温度0.8度低下。(作者調べ。言わずもがな適当極まりない測定結果。ところにより大幅ダウン)
 

 …ここでお話が一気に戦闘シーン―…もとい佳境へ雪崩れ込みそうになったが、作者はそういうの書けないから…ではなくて。
 こトロが村雨を気に入ってしまった以上、玄関から放り出すわけにも行かず、苦虫を噛み潰した顔は薄皮一枚分下に隠し、如月は茶の間へ案内することとなってしまった。

 …そして哀しいかな、『客が来ている→一緒にこトロもいる→どんなに気に入らない客でも一応茶は出すべき?…』
 導き出された結論に、溜息をつきつつ台所へと足を向ける如月。

 火を扱っているのに台所を離れるなどとは、純日本家屋所有者にとって、あまり好ましくないことである。加えて如月氏は相手がそれなりの舌を持っているなら、それなりの入れ方をしてやるという心意気を持っていたりする。後でああだこうだ言われると困るような世界につながりがある人間なら特に。…営業の為のたゆまぬ努力…???
 まあ、つまりはその間…茶の間には関与できない。
 …とどのつまりはこトロと村雨をワンセットにして放置してしまったことに。

 こだわりは、時に人を盲目的にさせるという例。

 数分後。茶の間に置いてある卓袱台の上には何故か麻雀パイが並べられていた。”そういう”用事で立ち寄ることのある村雨が、何処に麻雀関連の品が収めてあるかなど知っているのは当たり前で。
 じゃあなんで出してきてるんだとか言うのは。…もちのろんで、使用が目的です。

 「で、これがこーなる」
 「うにゃ…こトロ、よくわかんにゃい…んにゃ、こうにゃったら…んと」
 「ま、大丈夫だろ、やってりゃ自然と覚え」
 卓袱台を挟んで向かいにはこトロ。その後方にゆらりと現れた”怒気の塊”を目に留め、村雨は多少命の危機を感じた。
 が、こトロがいるから大丈夫―と高を括ったのが、今日の村雨の爪の甘さだった。

 「…こトロ、すまないが”全て”の部屋の窓の鍵を確かめてきてくれないか?何だか気になってね」
 そこはかとなく某箇所を誇張しつつ、すまないねと困った顔をして、如月はこトロに用事を頼んだ。
 「わかったニャ♪あにょ、それじゃ言ってくるのニャ。しこう、まーじゃん教えてくれてありがとにゃの〜♪」
 「…ああ、たいしたことじゃねェよ」

 殺られる。かもしれない。

 手を振って茶の間を出て行くこトロに、手を振り返す動きがかなりぎこちない村雨祇孔。
 こトロが傍にいなければ、自分の安全など何の保証も無いとはわかっていた…わかってはいたが、いささか油断してしまった感は否めない。

 「村雨」
 超強力接着剤で貼り付けた笑顔は、すでに過去の遺物。さながら今は、氷で作ったデスマスク?(どんな代物だ)

 「おぅ」
 名前を呼ばれたら返事をする。実に良い教育をされているようだ村雨。いつか瓢箪に吸い込んだろか。

 「…子供に…こトロに麻雀を教えるとはいい度胸だな?」
 類義語に『…僕に喧嘩を売るとはいい度胸だね?』がある。※特に殺る気満々な時に使われます。

 「俺らだって未成年じゃねェか」
 …そうは見えないけどな。(作者のいらんツッコミ←多数あるので今さら言わなくてもいいですか?)

 「そういう問題ではない…こトロに賭け事など覚えさせなくていいと言っているんだ」
 自分に都合の悪いことは棚上げ。ステキ★(←愛が歪んでいるんです。気にしちゃ駄目です)

 口元に微笑が漂うが、キレイすぎて怖い。今にもジハードかましそうな菩薩サマとタメ張るくらい。それを人は終焉の笑みと…。
 (恐怖で)喉を鳴らす村雨の目の前に、如月はコトリ、と湯気の立つ湯呑みを置いた。そして自分の前にも。
 「…茶でも飲んで、頭を落ち着かせるんだな」
 それだけ言うと、如月は自分の分をさっさと飲み干して、黙りこくった。無言の圧力で、村雨も眼前の湯呑みに手を伸ばし、口元へ運んだ。
 …口元までは。

 ぴたり。

 流し込まれる寸前の角度で村雨は手を止め、ゆっくりと、先ほどとは逆の動作を行った。隠し切れない”匂い”を嗅ぎ取った嗅覚が危険を知らしめたが故に。腐っても秋月の守護を務める者なのだ、馬鹿…ではない(はず)。
 「どうした?」
 飲まずに戻された湯呑みと、それを行った村雨の顔を見比べ、如月が眉間に皺を寄せる。
 「どーしたもこーしたもあるかッッ!!なに入れやがった、てめェ!!!!!」
 大きく体を乗り出すと、びしぃッ!と効果音と効果線がつこうかという勢いで、村雨は如月の鼻先に指を突きつけた。
 「嫌だね、人を指差してはいけないと教わらなかったのかい?」
 「人に毒物盛るようなヤツに言われたかねェ!」
 全くだ。…ん?ということは、今、村雨は何かを盛られたようである。
 「…何を心外な。言いがかりはよしてほしいものだね」
 ”いけしゃあしゃあ”っつーのは、こういう時に使うんだろうな。頭の中の落ち着いた部分が冷静に分析してしまうのを、乱暴に頭を振って追い払う村雨。傍から見たら阿呆だ。
 そんな村雨を冷えた目で見つつ、さらに如月はのたもうた。(注:”のたまふ”という古語があります。”言う”の尊敬語。それを勝手気ままに変化させて使ってみました。”のたもうた”という使い方はとりあえず造語ってコトで)
 「僕は何も入れてはいないよ?何なら、飲んで確かめればいい」
 「ああそうだな…って、そのネタで引っかかんのはあの戦隊かぶれの連中ぐらいだろが」
 「ちッ…(コスモパープルのくせに…)」
 悪人顔が露呈する瞬間。実に悔しそうな、意地の悪い舌打ちである。

 村雨は思った。
 ― 此処に居たら殺られる。まず確実に。

 先ほどは”かもしれない”止まりだった予想は、もう確定の未来に近づいていた。
 「…お邪魔して悪うございました、俺は帰るから、後はよろしくやれや」
 棒読みよろしくで、さっさと口上を述べるだけ述べ、村雨が膝を立てて立ち上がろうとしたその時。

 「ふ…」

 どこから声出してるんだと、問い質したくなるような、低い含み笑いを漏らした相手を見遣れば、その手は卓袱台をしっかりと掴んでいた。
 それを目にした村雨は、このままだと卓袱台にヒビが入るだろうな、と思った。だから言った。いや、言おうとした。
 「…お怒りはわかるが、モノ壊すんじゃね…」

 言えなかった。

 艶やかな笑みが、村雨をその場に縛り付け…たのではなく、いつの間にやら影縫いでしっかと畳に縫いとめられていた事に気付いたからで。
 「忍びたるもの、敵を逃がすわけには行かないよ…」
 「誰が敵だ、誰が!!」

 「お前だ、村雨」

 実にさらりと間髪入れずに次の瞬間。

 「飛水流・卓袱台返しッ!!!!!」

 ―はい?
 などと思ったのは刹那の間だけ。
 ゴン…という鈍い衝撃とまだまだ熱い湯呑みの中身が立て続けに村雨を襲った。

 「ッッッ!!!!!!!!きーさーらーぎぃィィ!!!」
 くわッと歯を剥く濡れ鼠村雨の不幸は、そこで終わらなかった。
 「…文句があるなら、受けて立つよ。…術も解いてやろう」
 着物の左の袂の乱れを直しているのか、右手がその中に入り込んだ状態で如月は、あっさりと術を解いた。
 戒めが解けた村雨が、勿論如月に掴みかかるのは誰もが予想しえたことであるのに、何故如月氏はあえてそれをしたのでしょー。

 答えは簡単。

 ぽい。
 猪よろしく、凄まじい勢いですぐ側に迫った村雨の口に、さっと右手で小さな丸い粒を投げ込む。流石忍びの修行を積んだ男、飲み込まずに入られない辺りにしっかりばっちり。
 人体構造には逆らえず、村雨はまんまとソレを飲み下してしまい。
 ごくりと、己の喉が鳴る音がどこか遠くに聞こえた気がした。

 「…オイ」
 「なんだい?」
 「今、なに入れやがった…」
 訊くのも恐ろしいが、訊かないのはもっと恐ろしい。じっとりと背中に伝う汗すらも、今の村雨は感じられないくらいに焦っていた。

 「……飛水家に代々伝わる作り方で作った…」
 「作った?」

 十分に間を持たせ、ややあって満足げに笑う如月氏。

 「…とても強力な下剤だよ。丸薬にしておいたから飲みやすかっただろう?(爽)」

 毒じゃなかっただけマシかもしれない。しれないがしかし。下剤ですか、如月さん。ソレも嫌ね。ええとっても。
 (作者注:ベタな展開でごめんなさい)

 「素晴らしく即効性だから。すぐにトイレに行ったほうがいいかもしれないよ…いや、”お前はすでに死んでいる”状態かもしれないね」
 すでに聞いていないような固まってしまった村雨に、にこりと笑顔で言うと、すっと立ち上がり、反応まるで無しな村雨を縁側までずるずると襟首を掴んで運ぶ。
 ゆっくりと上げた如月の右手に氣が集中するのに、村雨はまだ呆けていた。薬物をほいほい飲み下してしまったのが、よっぽどプライドを傷つけたらしい。ああ、そんな落ち着いて(ないけど)いる場合じゃないというに。

 「仕方ないね、送ってあげるよ……飛水流奥義ッ」

 というか、はなから送る気満々だったんじゃないですか?

 「瀧遡刃!!!!!」
 どこからともなく流れ来る膨大な水流に為す術も無く(あるかどうかも知らないけど)、体内に危機を抱えたまま、村雨は何処と知れぬ地へ流されていった。手荒い送り方だ…。…嫉妬に狂った人間に、”丁寧に送ってやろう”なんていう思考を期待するのもバカらしいけれど。

 「今回はサービスで高く打ち上げてから流してあげたからね、近所の公園にでも流れ着くだろう」
 誰に言ってるんだか理解に苦しむが、その呟きから察するに、村雨はまだ、飲まされた薬による弊害を乗り越えられるようだ。…たぶん。

 と、ジャストなタイミングで、こトロ特有の足音が茶の間に近づいてきた。…子供に犯行現場は見せられないから。おやごころおやごころ。
 「おわったにゃ、ひすい!ちゃーんと、全部しまってたニャ…!!!!!!!!にゃにゃ!?」
 「ああ、こトロ、ご苦労様。もっとこっちへでておいで?良く見えるよ」
 手招きされ、とたとたと嬉しそうに走り寄ってくるこトロが見たものは。

 「…うにゃぁ……とってもキレイにゃのvvv」
 夕陽にキラキラと光る、細かな雨。…雨ではなく、正確には上空に留まれずに降ってきた水滴たちなのだが。
 金色に輝くもの、オレンジ色に染まるもの…沈みかけた太陽の色を映して、どれも美しく光を反射していた。

 「にゃあ、にゃあ…すごいニャ、とってもとってもキレイにゃのニャ…こトロ、はじめて見たにゃ……おひさまの色した雨にゃ!!」
 「…そうだね」
 ぴょこぴょこ飛び跳ねつつはしゃぐこトロの可愛らしさに、さっきの形相はどこにいったのかしらん?と首を傾げたくなるくらい、柔らかい顔で答える如月さんがいましたとさ。

 もう村雨のことなんて頭の片隅のさらに隅にしか無かったに違いない。…それを、世間一般では忘れているという。

 ― 10分後

 ようやく興奮も収まったこトロが、きょろきょろとせわしなく室内を探しまくっている理由を、如月が訊ねたら。
 「しこうはどこいったニャ?…あんにゃにキレイだったにょに…。見てにゃかったニャ?」
 「アレはね、僕と村雨からのこトロへのプレゼントだよ。ああ見えても彼は割と恥ずかしがりやなところがあってね、こトロに見つからないように裏口から帰ったんだ」
 まるっきり嘘じゃあないが、ものすごくかなり事実が歪められている。自分の行動を正当化しつつ、あとで村雨から報復を受けないがための高等テク。こトロが喜んでいたと知れば、村雨から危害が加えられる危険はないと踏んだのだ。
 「ニャ!ありがとにゃの、すごくすごく、こトロうれしいニャ♪♪だいすきニャ、ひすいもしこうもだいすきニャ〜vvv」
 案の定というか、予想したとおりというが、笑顔前回で喜ぶこトロに、ぎゅうぅぅ〜っと抱きつかれ、村雨に幾ばくかの感謝の念を抱いた如月だった。
 ……宇宙を漂う隕石の欠片ほどかも、しれないが。

 自身に抱きついているこトロを、やんわりと抱きしめながら。

 
 「ああ、そうだ…こトロ?」
 「んにゃ?にゃあに、ひすい」
 「…麻雀は、こトロにはまだ早いから。誘われたり教えてやるといわれても、のってはいけないよ?」
 「ニャ…わかったニャ。ひすいの言うことはちゃんと聞くニャ♪…こんどさそわれても、ごめんにゃさいするにゃ」
 「ふ…いいこだね」
 そっと手を伸ばし、柔らかな頭を撫でてやる。
 「ニャ…vvvほめられたにゃ♪」

 しかしそれでも。
 しっかり釘を刺すことは忘れない。

 こトロの一番は自分でなくてはならない、と堅い意思がそうさせるのです。

 ……人、それを【独占欲】という。






★★今回のお題・・・『ちゃぶ台返し』と『北斗の拳』を入れるコト。…今さらですがスゴイ内容ですなっ。(笑)★★

 信じてもらえないかもですが。村雨とっても好きです。強運な男ラブです。…ただ、うちのギャグものに出演すると、彼の運はがた落ちになってしまうようなのです。う〜んん(笑)。

 はてさて…今回も、如月さんは親バカで、こトロはきゅーとになってますでしょうか??

 それから。今回のネタ提供者のつかささん…リク内容は一応満たしておきました!!…一応(遠い目)。ネタをありがとうございます〜。拙いSSですが、どうぞお納めくださいませ。

 ■□このシリーズは、情熱的なネタをゲットしたら書き、そしてその元ネタをくれた人に差し上げる…という路線だったりするのでしょうか?(今のところ)。ある意味もっとも更新がわからないシリーズ(続くのか?!)。そしてコレをもらえた人は、おそらく管理人に『ネタをくれてありがとーう、書かせてくれてありがとーうvvv』と【愛】を連打されています、こっそりと(ぇ)□■



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